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2025年10月17日

「無形文化遺産保護に関する中央アジア地域会合」をタシケントにて開催しました(2025年9月25日~26日)

2025年9月25日から26日にかけて、「無形文化遺産保護に関する中央アジア地域会合:包括的な遺産保護に向けた研究とネットワークの強化」をウズベキスタン・タシケントで開催しました。本会合は、IRCI、ICHCAP、およびユネスコ・ウズベキスタン事務所 (タシケント事務所) の共催により、無形文化遺産とその保護に関する研究の今後の方向性と、保護のための地域的協力のさらなる可能性を探ることを目指しました。

本会合は2つのセッションで構成され、一日目は「中央アジアにおける無形文化遺産研究の現状に関する議論」、二日目は「有形文化遺産・無形文化遺産の相乗効果に関する議論」を行いました。(プログラム(英語)はこちらを御覧ください。)

一日目の「中央アジアにおける無形文化遺産研究に関する議論」は、IRCIが2022~2024年度に実施した「無形文化遺産保護のための持続的研究情報収集:中央アジアと小島嶼開発途上国(SIDS)を中心に」事業の成果に基づいたセッションでした。IRCIによる研究情報収集の概要と主な成果紹介のあと、ウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、モンゴル、タジキスタンの参加者から各国の情報収集成果について報告がありました。議論では、観光による影響や国境を越えて共有される無形文化遺産、消滅の危機にある先住民言語を遺産として保護するための緊急対応の必要性など、この地域の無形文化遺産研究における重要かつ時宜を得た課題が取り上げられました。これらを踏まえ、本地域共通の無形文化遺産に関する共同研究や、IRCIとの研究情報収集の継続など、無形文化遺産保護に資する研究をさらに進展させるための今後の協力についても議論を交わしました。

二日目のセッションでは、ICHCAPの進行のもと、有形と無形の文化遺産の相乗効果という、現在関心が高まっているテーマを扱いました。ウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、そしてこの地域の研究機関 (IICAS) からの最近の関連動向の報告ののち、有形・無形文化遺産の相乗効果の重要性およびこの文脈における無形文化遺産の意義、また、自然遺産を含む遺産の包括的保護に向けた今後の方策や協力について議論しました。最終討論では一日目のセッションで得られた無形文化遺産研究に関する成果も反映し、研究を通じて保護の重要課題にいかに対応し、中央アジアにおける保護の取り組みを強化できるかなど、より広範な意見交換を行いました。

タシケント事務所が企画したエクスカーションでは、ウズベキスタンの伝統的な陶芸や刺繍の工房を見学し、タシュケント市における無形文化遺産の保護・継承・普及の取り組みを知ることができました。

今回の会合は、IRCIが初期の企画段階からICHCAPと協力して開催した初めてのイベントでした。CRIHAPがオブザーバーとして参加したことで、中央アジアにおける無形文化遺産保護のため3つのユネスコ・カテゴリー2センターが連携した極めて貴重な機会となりました。

本会合を通じて、無形文化遺産研究に関する対話と知識交換を促進し、地域におけるネットワークやユネスコ・カテゴリー2センターとの協力関係の強化に寄与することができました。今回得られた知見が、中央アジアにおける無形文化遺産のより効果的かつ包括的な保護のための研究の新たなアプローチや取り組みの展開、さらには今後の国際的・地域的協力の促進にもつながることが期待されます。

※本地域会合の詳細はユネスコのウェブサイトでも報告されています。記事はこちらから御覧いただけます。

中央アジア地域会合初日の集合写真(2025年9月25日)
IRCI所長が開会挨拶を行いました(2025年9月25日)

中央アジア地域会合初日の集合写真(2025年9月25日)

IRCI所長が開会挨拶を行いました(2025年9月25日)

中央アジア地域会合最終討論の様子(2025年9月26日)
中央アジア地域会合の参加者はタシケント市内の陶器工房を見学しました(2025年9月25日)

最終討論の様子(2025年9月26日)

タシケント市内の陶器工房を見学しました(2025年9月25日)

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