無形文化遺産について学ぼう

無形文化遺産とは?

無形文化遺産(intangible cultural heritage)は、生きている文化遺産です。時代によって変化しつつも、世代から世代へ受け継がれ、文化的アイデンティティや豊かさを与えるものです。「無形文化遺産の保護に関する条約」の第2条2項では、無形文化遺産について次の5つの類型を例示しています。

口承による伝統および表現

イフガオ族の歌、ハドハド(フィリピン)

©2008, by J. Uñalivia/NCCA-ICH, with the permission of UNESCO

ヴェーダ詠唱の伝統(インド)

©Sangeet Natak Akademi, New Delhi, India, with the permission of UNESCO

芸能

カンボジア宮殿舞踊(カンボジア)

©International Research Centre for Intangible Cultural Heritage in the Asia-Pacific Region (IRCI), 2013

カーチューの歌唱(ベトナム)

©2006, Vietnamese Institute for Musicology. Ministry of Culture, Sports and Tourism of Vietnam, with the permission of UNESCO

社会的慣習、儀式および祭礼行事

ドゥラミツェ地方の太鼓と仮面舞踏(ブータン)

©2007, by Institute of Language and Cultural Studies – Semtokha Bhutan, with the permission of UNESCO

宗廟での先祖のための儀礼および祭礼音楽(韓国)

©National Research Institute of Heritage, 2008, with the permission of UNESCO

自然および万物に関する知識および慣習

中国伝統医学の針灸術(中国)

©Institute of Acupuncture and Moxibustion, 2009, with the permission of UNESCO

綱引き(カンボジア・フィリピン・韓国・ベトナム)

©Vietnam Institute of Culture and Art Studies, 2013, with the permission of UNESCO

伝統工芸技術

インドネシアのバティック(インドネシア)

©Batik Museum Institute, Pekalongan, 2008, with the permission of UNESCO

小千谷縮・越後上布(日本)

©1998, by Association for the Conservation of Techniques for Echigo-jofu, Ojiya-Chijimi, with the permission of UNESCO

ユネスコについて

国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)は、教育、科学、文化、コミュニケーションの分野で国際的な協力活動を推進する目的で、1946年に設立されました。

無形文化遺産の保護に関する条約について

文化に関するユネスコの7つの国際条約の中に、2003年に無形文化遺産を保護することを目的として採択された、無形文化遺産の保護に関する条約(無形遺産条約)があります。

無形遺産条約は、口頭伝承や民俗芸能などのフォークロアを保護する目的で、ユネスコが1950年代から行ってきた議論の成果です。この条約には4つの目的があります。①無形文化遺産を保護すること、②関係するコミュニティや集団、個人の権利をも保護すること、③無形文化遺産に対する理解を地域的、国内的、国際的に高めること、④国際的な協力・援助についての規定を設けることです。

無形遺産条約はすべての無形文化遺産の価値は平等という視点に立ちます。保護の対象はあくまで「人の営み」であり、無形文化遺産を継承するコミュニティを主体に保護していくことが明示されています。人々自身が、人類の宝を創造し、再創造し、維持し、伝承するという重要な役割を果すということが、条約の根本的な概念です。

無形遺産条約の批准国の多くが、貧困や低い識字率、専門家の不足、若者の無関心や都市への人口流出、紛争や戦争などの問題を抱えているのが現状です。そのため、法整備支援や人材育成、資金援助、持続可能な教育などが必要とされています。

 

学習教材

映像集

  1. 国際シンポジウム 2017「無形文化遺産をめぐる交渉」
    基調講演「中央・南東部ヨーロッパにおけるユネスコとICTMに関する無形文化遺産の交渉」

    2017年11月29日 大阪

    主催:国立文化財機構アジア太平洋無形文化遺産研究センター、国立民族学博物館、文化庁

  2. 無形文化遺産国際シンポジウム 2016
    パネルディスカッション「技と心を受け継ぐ」

    2016年11月19日 大阪

    主催:国立文化財機構アジア太平洋無形文化遺産研究センター、堺市、文化庁
    後援:外務省、日本ユネスコ国内委員会
    協力:日本芸術文化振興会国立文楽劇場

  3. 2011年度無形文化遺産保護研修コース

    2011年2月1日~5日 東京、大阪、滋賀

    主催:国立文化財機構、東京文化財研究所
    後援:日本ユネスコ国内委員会
    協力:国立民族学博物館

 

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