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2025年10月15日
堺市開催の無形文化遺産理解セミナーに協力しました(2025年9月27日)
2025年9月27日、堺市博物館ホールにて第48回無形文化遺産理解セミナー『ユネスコ無形文化遺産「伝統的酒造り」ー次世代へ受け継ぐ日本の文化―』が開催されました。本セミナーは、無形文化遺産の価値や重要性への理解促進のため、堺市が市民向けに定期的に開催しているもので、IRCIは本活動に継続的に協力しています。
今回のセミナーでは、2024年12月にユネスコ無形文化遺産の代表リストに記載された日本の無形文化遺産「伝統的酒造り」をテーマに、文化庁から田中宏典氏(文化庁参事官(生活文化連携担当)付専門官)を講師に迎え、同代表リスト記載までの経緯について、日本における無形文化財保護システムとユネスコの無形文化遺産保護の枠組みを比較しながら解説していただきました。また、日本の酒造りの歴史文化的意義についても説明されました。
「伝統的酒造り」は、日本酒や焼酎、泡盛、みりんなど多様な酒造りに共通する、最も重要な工程であるこうじ造りを中心とした手作業による「わざ」に焦点を当てており、2021年12月に日本の無形文化財に登録されています。本セミナーでは、酒が日本の祭りや冠婚葬祭など多くの社会的・文化的行事に欠かせないものであること、自然の資源を極めて効率的に使用し廃棄物がごくわずかであること、そして原材料を提供する農家や杜氏などの担い手の役割等、ユネスコ無形文化遺産の代表リストへの記載要件についても紹介されました。また、2013年に「和食」が同代表リストに記載された以降の日本の食文化振興の取り組みとして「100年フード」や無形文化財の登録事例、法的枠組み等についても分かりやすく説明されました。
当日は約50名が参加し、講師との活発な質疑応答も行われました。酒という身近な無形文化遺産を通じて、市民の関心を引き出し、理解を深める有意義な時間となりました。


第48回無形文化遺産理解セミナーの様子(2025年9月27日 於:堺市博物館)