新着情報

2025年8月20日

新刊紹介『アジア太平洋地域における無形文化遺産保護と気候変動対策』

ユネスコより『アジア太平洋地域における無形文化遺産保護と気候変動対策』(英語のみ)が出版されました。本書では、アジア太平洋地域の各地で伝統工芸、生態的知識、地域的儀礼などの無形文化遺産が、気候変動への適応や影響の軽減にどのように活用されているかを紹介しています。多様な事例研究を通じて、無形文化遺産が持つ脆弱性とレジリエンス(回復力)の両面を明らかにしており、持続可能で強靭な地域社会を築き、将来世代のために文化と生態系を守るには、こうした実践を気候変動への適応戦略に組み込むことが重要であることを示唆しています。

本書は、ユネスコ東アジア地域事務所(北京事務所)が主導したアジア太平洋地域における無形文化遺産の保護と気候変動対策に関する事例研究公募の成果です。IRCIはCRIHAP、ICHCAP、IRDRとともに、気候変動という課題に直面するアジア太平洋地域の無形文化遺産の役割や脆弱性、保護戦略を探る研究事例の収集と出版を共同で支援してきました。IRCIでは特に、事例の選定に加わるとともに、共同編集者として、本書の刊行に貢献しました。また、IRCI事業「無形文化遺産と災害リスクマネジメントに関する調査研究」(2020~2023年度)で実施したバングラデシュ、モンゴル、フィリピンの3件の事例研究が、気候変動の視点から再検討され、本書に収録されたことも特筆すべき点です。

これらの取り組みと連動して、IRCIでは現在、「アジア太平洋地域の無形文化遺産と気候変動に関する調査研究」事業 (2024~2026年度)を実施しており、地域の環境に根ざした無形文化遺産が気候変動によってどのような影響を受けているかをより詳細に調査し、無形文化遺産の保護と気候変動対策への活用に資する適応策を検討しています。本書の成果を踏まえ、またそれを補完するかたちで、地域社会の適応と無形文化遺産保護を支援するための実践的で質の高いガイドラインやツールを作成するとともに、さらなる行動を促進することを目指しています。

本書はユネスコのデジタルライブラリーで御覧いただけます。こちらまたは下記表紙画像をクリックしてください。

The front cover of the book 'Intangible  Cultural Heritage Safeguarding and Climate Action in Asia and the Pacific'

『アジア太平洋地域における無形文化遺産保護と気候変動対策』

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