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2026年2月20日
小島嶼開発途上国における無形文化遺産保護のための研究に関する地域会合を東京で開催しました (2026年2月5日~6日)
「小島嶼開発途上国における無形文化遺産保護のための研究:現状、課題および展望」と題する地域会合を、2026年2月5日~6日に東京の黒田記念館で開催しました。
本会合は、IRCIの研究事業「無形文化遺産保護のための持続的研究情報収集:中央アジアと小島嶼開発途上国を中心に」(2022~2025年度) の成果を踏まえ、小島嶼開発途上国(SIDS)における無形文化遺産研究の現状と課題について議論するとともに、その保護および地域協力強化のための今後の方向性を探ることを目的として実施しました。
1日目は、IRCIの無形文化遺産研究情報収集事業の成果をもとに議論が行われました。IRCIによる概要説明に続き、キリバス、バヌアツ、パプアニューギニア、パラオ、東ティモール、フィジー、モルディブの協力機関代表が、同事業で収集した既存の無形文化遺産研究情報に基づき、各国における研究の現状や動向、課題等に関する知見を報告しました。さらに、これらの国々で収集された情報全体の地域的分析も報告されました。報告への質疑応答やその後の活発な意見交換を通じて、国によってはユネスコ国内委員会が十分機能していないことや人材不足といった喫緊の地域課題がある一方で、カルチュラル・マッピングやバヌアツ文化センターのフィールドワーカー・ネットワークといった成功事例も共有されました。また、神聖な無形文化遺産や秘匿性が高い無形文化遺産の機密性に関する各国の研究方針や、環境変動に対して極めて脆弱な小島嶼国において、気候変動の影響に緊急に対応する必要性があることも強調されました。これらの議論は、組織的・制度的な課題とコミュニティ主導の成功事例の双方を明らかにし、今後の的確な支援のための基盤を整える内容となりました。
2日目は今後の協力に焦点を当て、アジア太平洋地域の無形文化遺産保護に取り組むユネスコ・カテゴリー2センターであるIRCI、アジア太平洋無形文化遺産国際研修センター(CRIHAP)、アジア太平洋無形文化遺産国際情報ネットワークセンター(ICHCAP)から活動報告が行われました。また、オンラインで参加したユネスコ太平洋地域事務所(アピア)も、太平洋地域における現在の取り組みや優先課題を共有しました。これらの報告を受けて、各国代表は、デジタル・アーカイブやコミュニティ主体の記録に関する研修の強化、無形文化遺産と気候変動適応を統合する政策策定支援、研究者および実践者の交流を促進する地域ネットワークの強化など活発な意見交換を行い、技術・財政・能力開発面での支援の必要性を表明しつつ、ユネスコの事業実施枠組みや資金メカニズムについても質問が寄せられました。さらに、一覧表への記載が限られるなど無形文化遺産保護条約において依然として十分に代表されていないSIDSの認知度向上に向けた共同提案についても議論が及び、国際的支援を地域の優先課題と結び付け、SIDSの声を地域的な保護戦略に反映させることの重要性を再確認する機会となりました。
本会合は、IRCIにとってSIDSとの継続的な協力につながる新たな一歩であり、また、無形文化遺産保護を支援するユネスコ・カテゴリー2センター間の協働と相乗効果の高まりを示すものとなりました。率直かつ建設的な議論を通し、SIDSが直面している固有の課題に応じた、より的確で協調的な取り組みへの道を切り開くことができました。本会合を通じて得られた知見や構築された協力関係が今後のプロジェクトや研究計画、政策提言等に反映され、SIDS各国においてよりレジリエントでコミュニティ主導型の無形文化遺産保護の推進に寄与することが期待されます。
会合の後、参加者は慶應義塾ミュージアム・コモンズ(KeMCo)を訪問し、第二次世界大戦以前に収集されたメラネシア民俗資料を見学しました。太平洋地域における有形・無形の文化的つながりについて改めて考える有意義な機会となりました。
なお、各国からの参加者等については、プログラム(英語)を御参照ください。


1日目の発表セッションの様子(2026年2月5日)
ユネスコ・アピア事務所代表者がオンライン参加した2日目
のハイブリッド形式による議論の様子(2026年2月6日)


会場である黒田記念館前での参加者集合写真(2026年2月5日)
慶應義塾ミュージアム・コモンズへのエクスカーションで
メラネシア民俗資料を見学(2026年2月6日)



