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2023年2月22日

無形文化遺産のSDGsへの貢献事業:第1回国際シンポジウム開催

アジア太平洋無形文化遺産研究センター(IRCI)は、2022年度より「無形文化遺産の持続可能な開発への貢献に関する調査研究―持続可能なまちづくりと無形文化遺産」事業を開始し、世界遺産を含む文化的/歴史的景観の保護や維持に関する事例に焦点をあて、SDG 11.4[1]の達成を視野に、持続可能なまちづくりに無形文化遺産が果たす役割について調査しています。本事業のキックオフイベントとして、2023年2月1日—2日の日程で、奈良にて第1回国際シンポジウムを開催しました。

1日目は奈良文化財研究所でのシンポジウム、2日目は奈良国立博物館でのエクスカーションを開催しました。シンポジウムには、事業連携機関の専門家に加え、オーストラリア、タジキスタン、フィリピン、日本からの発表者、ユネスコ北京事務所の専門家、リソースパーソンなど20名が参加しました。またこれまでのSDGs関連事業の連携機関からも専門家11名がオンラインで参加しました。シンポジウムはオンラインで一般公開し、主にアジア太平洋地域から55名の視聴者がありました。

シンポジウムは、奈良文化財研究所の本中所長の「無形と有形の融合」と題した基調講演から始まりました。その後、事業連携機関であるカンボジアのアプサラ・ナショナル・オーソリティー(ANA)、フィジーのイタウケイ言語文化研究所(TILC、オンライン参加)、マレーシアのジョージタウン世界遺産事務所(GTWHI)による予備調査の結果報告が続き、さらに、様々な無形文化遺産が歴史的/文化的景観の保護や維持に貢献している事例としてフィリピン、ネパール、タジキスタン、バヌアツ、日本の事例に関する発表がありました。総合討論では、文化遺産の景観の発展や管理に無形文化遺産が果たす役割や持続可能なまちづくりに向けた有形・無形文化遺産の保護の重要性について意見交換が行われました。報告のタイトルや報告者など、詳細についてはプログラムをご参照ください。

2日目のエクスカーションでは、奈良国立博物館で、奈良新しい学び旅推進協議会による講義として、持続可能な開発のための教育(ESD)とSDGsの視点から、文化遺産を活用して観光を推進する取り組みについて学びました。

またこの機会を利用し、シンポジウム前日(2023年1月31日)には、事業連携機関の専門家が一堂に会し、今年度の活動報告を行うとともに来年度の活動について議論しました。

 

※本シンポジウムは、文部科学省(MEXT)再委託事業 「ユネスコ未来共創プラットフォーム事業(海外展開をおこなう草の根のユネスコ活動)」により実施しました

[1] SDG 11.4: 世界の文化遺産及び自然遺産の保護・保全の努力を強化する。(総務省仮訳)

  • ディスカッションの様子(2月1日)

  • シンポジウムの参加者

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