危機に瀕する無形文化遺産
ベトナム・ドンホー版画を事例とする無形文化遺産のための保護措置の研究(2013年度~2015年度)
ベトナム北部のバクニン省ドンホー村では、旧正月を華やかにする縁起物として、伝統的に木版画の制作が行われてきました。しかし、技術者の減少や、市場経済の導入等による急速な都市化・工業化等により、ドンホー木版画の技術継承が危機的な状況に置かれていることから、ベトナム政府からIRCI に緊急の要請があり、2013 年度〜2015 年度にかけて技術保護に関する共同研究を実施しました。本事業では、ベトナム文化芸術研究院と連携し、基礎的な調査及び危機的要因を分析した後、日本における先駆的事例を取り入れるため、石川県金沢市にある伝統工芸の工房等を訪問しました。また、ドンホー村およびハノイにてワークショップを開催し、継承者、研究者、行政官が一同に会して討論を行い、さらには、日本人専門家が、日本の無形文化遺産の保護・再生の活動事例をもとに継承に関する提案をしました。これらの調査結果は成果として報告書にまとめ、出版しています。さらなるプロジェクトの成果として、現在ドンホー村では、継承者主体の持続可能な保護を目指したコミュニティミュージアムの設立計画が進められています。
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