持続可能な開発目標(SDGs)
無形文化遺産と生態系に関する予備調査(2025年度)
SDGターゲット11.4は、「世界の文化遺産及び自然遺産の保護・保全の努力を強化する」ことを通じた持続可能な地域づくりの実現を目指しています。2024年までの事業「無形文化遺産の持続可能な開発への貢献に関する調査研究―持続可能なまちづくりと無形文化遺産」では、アジア太平洋地域の世界遺産や文化・歴史的景観等を事例として取り上げながら、有形・無形の文化遺産の統合的保護について調査研究を進めました。しかし、世界自然遺産を含め、自然環境と無形文化遺産の関係性に関してはまだ十分に検討できていません。そこで本事業では、無形文化遺産と自然環境の関係について理解を深め、自然環境を含めた地域の多様な遺産を包括的に保護するための手法について調査研究する後続年度の事業の準備を実施します。
2025年度は、予備調査として、関連分野における国内外の研究動向を把握するための情報収集を行います。文献調査やセミナー等を通じて、コミュニティが有する伝統的な生態学的知識や実践など、環境に関連する様々な無形文化遺産の重要性について理解を深めます。自然遺産やエコパーク、ジオパークなど、環境保全に関連する無形文化遺産についても情報を収集します。また、協力者の特定など、2026年度からアジア太平洋各地で本格的な事例研究を展開していくために必要な体制づくりを進めます。
事例研究では、無形文化遺産と環境の関連性について記録し、無形文化遺産が環境の保全や持続可能性に果たす役割を解明するだけでなく、自然と密接に結びついた無形文化遺産をコミュニティが主体となって保護・継承し、持続可能な地域づくりに活用するための方策の開発を目指します。本事業を通じて、地域の遺産の包括的保護に関する議論が進展すると同時に、SDG 14および15が掲げる持続的な資源利用や環境保護に、無形文化遺産の観点から貢献することが期待できます。