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2016年7月27日

無形文化遺産と自然災害に焦点をあてた新規事業の始動

第4回運営理事会の決定に基づき新たな中期計画(2016-2020年度)が採択され、事業活動の柱のひとつとして「無形文化遺産保護と災害リスクマネジメント」が掲げられました。これを踏まえIRCIでは、この新たな領域に取り組むための第一段階として、今年度4月より新規事業「アジア太平洋地域における無形文化遺産保護と災害リスクマネジメントに関する予備調査」を立ち上げ、東京文化財研究所の無形文化遺産部との連携により、事業を効果的に進めています。

事業初年度となる今年は、アジア太平洋地域における災害リスクマネジメントの現状および自然災害に関連する無形文化遺産保護の現状について把握するとともに、地域内の主要な研究機関との関係構築を目指しています。その最初の試みとして、IRCIは野嶋洋子アソシエイトフェロー(IRCI)、石村智音響映像記録室長(東京文化財研究所)を、7月3日~8日の日程でフィリピンに派遣しました。マニラ首都圏での主要な研究機関・研究者を訪問し、一連のミーティングと議論を通して、フィリピンの災害リスクマネジメントの現状について有益な情報を得ることが出来ました。また今回のフィリピン訪問は、これまでIRCI事業での活動がなかったフィリピンにおいて、研究ネットワークを開拓する良い機会ともなりました。

 このフィリピン訪問に先立ち、7月1日、東京国立博物館にて当事業の第1回ワーキンググループ会合を開催しました。ワーキンググループ会合は、様々な学術領域で災害研究に携わる専門家を招聘し、事業発展の可能性やアプローチについて意見交換を行う場として立ち上げました。今回は、最初の話題提供者として清水展教授(京都大学東南アジア研究所)を招き、フィリピンの災害事例について文化人類学的視点からお話いただきました。現地での長年の経験にもとづき、ピナトゥボ噴火とアエタの復興について詳細にご報告いただくとともに、棚田群がユネスコ世界遺産として知られるイフガオについてもお話いただき、その後質疑応答を行いました。最初の公式会合となった今回は、事業を担当する研究スタッフに加え、岩本渉所長(IRCI)、亀井伸雄所長(東京文化財研究所)、山梨絵美子副所長(東京文化財研究所)も出席しました。

IRCIでは現在、アジア太平洋地域内の国々での予備調査やワーキンググループ会合など、更なる活動の実施にむけ調整を進めています。

問い合わせ先:野嶋洋子

 

  • NCCA(国家文化芸術委員会)無形文化遺産ユニットでのヘスス・ペラルタ氏との議論の様子

  • OMLセンター(Oscar M. Lopez Center for Climate Change Adaptation and Disaster Risk Management Foundation, Inc.)でのミーティング

  • マニラ観測所(アテネオ・デ・マニラ大学)でのミーティング

  • ワーキンググループ会合の様子(2016年7月1日)

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